初夏の瑞々しい風が吹き抜け、鮮やかな新緑が五感を優しく包み込む5月中旬。
今回は、江戸時代から続く桜の名所であり、近代日本の歴史やレトロな情景が息づく東京都北区の「都立飛鳥山公園」を訪れました。
5月11日の木漏れ日が降り注ぐ美しい並木道を進めば、渋沢史料館やカフェレストランの建物が緑の中に静かに溶け込んでいます。
園内を進むと、かつて日本の発展を支えた迫力ある蒸気機関車「デゴイチ」や、山吹色のノスタルジックな都電が展示された広場に遭遇。
高台にある展望ひろばから新緑を抜けて走り去る電車を眺めた後は、江戸時代の記憶を語る「飛鳥山碑」や聖観世音菩薩像など、緑豊かな敷地に点在する歴史的な碑石をじっくりと巡る、心落ち着く大人の休日散策ルートをご紹介します。
飛鳥山公園「木漏れ日の並木道とレトロな車両・歴史を巡る散歩」の動画(YouTube)
緑豊かな木漏れ日の小道に佇む「渋沢史料館」や「紙の博物館」などの文化的な建築物。
静かな時の流れの中に佇む黒く重厚な「D51形蒸気機関車」と、可愛らしい山吹色の「都電6000形」。
そして展望ひろばから臨む線路を走り去る電車の風景や、木々に囲まれた聖観世音菩薩像や飛鳥山碑といった静謐な歴史遺産の佇まいなど、新緑の飛鳥山公園が魅せる穏やかな景観を美しい映像に収めました。
新緑の木漏れ日を歩く。歴史ある博物館エリアとノスタルジックなデゴイチ・都電
カルチャーと青葉が調和するプロムナード
散策の始まりは、爽やかな緑の葉が光を透かす「木漏れ日の並木道」からスタートします。
飛鳥山公園の敷地内には、「渋沢史料館」「北区飛鳥山博物館」「紙の博物館」という3つの個性豊かな博物館が集結しており、まるで緑のカルチャープラザのような落ち着いた雰囲気が漂っています。
おしゃれなカフェレストラン「飛鳥山エプロンマーク」の佇まいを横目に、青々とした木々の間をのんびりと歩いているだけで、日頃の慌ただしさが解きほぐされていくのを感じます。
静かに佇む蒸気機関車D51と山吹色の都電
緑の小道をさらに進むと、子どもから大人まで胸がときめくノスタルジックな車両展示広場が現れます。
ここに静かに展示されているのが、重厚な黒い車体を誇る「蒸気機関車 D51 853号機(デゴイチ)」と、レトロで温かみのある山吹色が印象的な「都電6000形6080号」です。
昭和の記憶を今に留める車両たちは、5月の鮮やかな新緑に引き立てられ、どこか優しくタイムスリップしたかのような心地よい郷愁を届けてくれます。
すぐ近くの「展望ひろば」へ足を進めれば、高台の下を疾走するJRの電車や新幹線を見下ろすことができ、新緑と列車のコラボレーションに心が晴れやかになります。
静寂の森に刻まれた歴史。飛鳥山碑や聖観世音菩薩像など敷地に佇む碑石巡り
江戸の桜の名所の記憶を伝える「飛鳥山碑」
車両広場を抜けた後は、緑豊かな森の中に点在する歴史的な碑石を巡る、知的な散歩旅へ。
公園の歴史を語る上で欠かせないのが、重厚な存在感を放つ「飛鳥山碑(あすかやまのひ)」です。
八代将軍・徳川吉宗が庶民の行楽地としてこの地に桜を植え、開放した由来を今に伝える貴重な碑石であり、難解な古文で刻まれた碑文自体も歴史的な価値を持っています。
静かな新緑の中にひっそりと佇む姿を眺めていると、江戸の昔からこの地で桜や新緑を楽しんできた人々の賑わいや想いが伝わってくるようです。
聖観世音菩薩像や文学碑が織りなす静謐な散歩道
さらに木漏れ日の小径を歩いていくと、「明治三十七八年戦役記念碑」をはじめ、穏やかなお顔で佇む「聖観世音菩薩像」が出迎えてくれます。
静かな緑の中で菩薩像に向かい合って手を合わせると、心の中にすっと清らかな静けさが広がるのを感じます。
その他にも幕末の思想家・佐久間象山ゆかりの「象山先生櫻賦」の碑や、「明治維新百年植樹記念碑」、俳人・岡野知十の句碑など、歴史と文学の足跡があちこちに散りばめられています。
初夏の光に透き通る青葉と、時を重ねた石碑のコントラストを楽しみながら、心満たされる大人の静かな時間を過ごすことができました。
飛鳥山公園の散策後に楽しむ、周辺のおすすめ立ち寄りスポット
新緑の美しさと歴史の情景に心癒やされた後は、王子エリアの風情ある名所やレトロな商店街へ足を延ばしてみませんか。
休日のお散歩の満足度をさらに高めてくれる、おすすめの場所をご紹介します。
音無親水公園(飛鳥山公園から徒歩約5分)
飛鳥山公園のすぐ北側、王子駅の目の前を流れる石神井川(音無川)の旧流路を整備した、日本の都市公園100選にも選ばれている美しい親水公園です。
木造の美しい橋や水車、石畳の遊歩道が整備されており、清らかな水のせせらぎと頭上を覆う青々とした新緑が和の情緒を醸し出しています。
飛鳥山公園の丘を降りて、川沿いの木陰のベンチで水の音に耳を傾けながらひと休みするルートは、初夏の爽やかなリフレッシュに最適です。
王子稲荷神社(公園から徒歩約10分)
東国(関東)33カ国の稲荷神社の総本社として、古くから高い格式を誇る歴史ある神社です。
大晦日に全国から集まった狐たちが榎の木の下で装束を整えて参拝したという「狐の行列」の伝説でも大変有名です。
緑豊かな本殿の裏手には、願掛けの「お石様」や「狐の穴跡」などミステリアスで神聖なスポットが残されており、歴史ロマンあふれる王子の街散策の締めくくりにぴったりの立ち寄り場所です。
都立飛鳥山公園へのアクセス情報
飛鳥山公園はJRや地下鉄、都電など複数の路線が集中する王子駅からすぐの場所にあり、アクセスが非常に抜群です。
- 電車をご利用の場合:
JR京浜東北線「王子駅」南口より徒歩すぐ、または中央口より徒歩約5分。
東京メトロ南北線「王子駅」1番出口より徒歩約3分。
都電荒川線(東京さくらトラム)「飛鳥山停留場」より徒歩すぐ。 - あすかパークレール(モノレール)のご利用:
JR王子駅中央口横の公園入口から飛鳥山山頂までは、自走式モノレール「あすかパークレール(愛称:アスカルゴ)」が運行されています。
無料で利用でき、車いすやベビーカーの方、足腰に不安のある方でもラクラク山頂エリアへ上ることができます(運行時間:10:00〜16:00)。 - お車をご利用の場合:
首都高速中央環状線「王子北出入口」より約5分。
公園には有料駐車場(普通車21台・最初の30分無料、以後30分毎に150円)が併設されていますが、収容台数が少ないため公共交通機関の利用をおすすめします。 - 散策のアドバイス:
公園内は緩やかな斜面や階段、舗装された小道が多くあります。
博物館巡りや碑石巡りでたくさん歩くため、履き慣れたスニーカーでの散策がおすすめです。
また、初夏の時期は木陰に入ると心地よいですが、日当たりの良い広場もあるため帽子や水分補給の準備をしてお出かけください。
木漏れ日がキラキラと揺れる美しい並木道、昭和の風情を静かに今に伝えるデゴイチと都電、そして江戸から明治への歴史を深く刻む碑石たち。
飛鳥山公園で過ごす新緑の緑と歴史に包まれた時間は、慌ただしい日々の緊張をすっきりと解きほぐし、心の中に特別な穏やかさを届けてくれます。
みなさんもぜひ、お気に入りのカメラを片手に、爽やかな初夏の彩りと歴史の記憶を探しに飛鳥山公園へ出かけてみてはいかがでしょうか。

