桜が街を彩る頃、皇居・乾通り(いぬいどおり)は春のひとときだけ、その門を静かに開きます。
普段は立ち入ることのできないこのエリアは、坂下門から乾門へと至る約750メートルの特別な通りです。
上皇さまの傘寿を記念して2014年から始まったこの一般公開は、今や東京の春を象徴する貴重な催しとなっています。
坂下門から始まる、静謐なる春の旅路(YouTube動画)
旅の始まりは、厳かな空気が漂う坂下門から。
一方通行のルートを進むと、威風堂々とした宮内庁庁舎や、歴史の重みを今に伝える石垣が姿を現します。
都会の真ん中に残された、穏やかな聖域の風景を動画に収めました。
歴史遺構と桜が織りなす至高のコントラスト
乾通りの魅力は、何といっても江戸城の遺構と桜の共演です。
石垣の上に凛と佇む「富士見多聞」や、静かに時を刻む「蓮池濠(はすいけぼり)」。
重厚な建築美を背景に、ソメイヨシノやしなやかなしだれ桜が咲き誇る姿は、ここでしか出会えない至高の美しさです。
道中には、深く静寂に包まれた道灌濠や、真っ直ぐに伸びる桜並木が続き、歩むごとに心が穏やかに整っていくのを感じます。
散策の終着点である乾門まで、気高くも優しい花の温もりが寄り添ってくれました。
乾通り一般公開を訪ねる際のポイント
乾通りの一般公開は、例年3月下旬から4月上旬にかけての約1週間ほど実施されます。
入場は無料ですが、坂下門での手荷物検査があるため、時間に余裕を持って訪れるのがおすすめです。
なお、三脚の使用やペットの連れ込み、飲酒などは禁止されており、マナーを守った静かな鑑賞が求められます。
わずか九日間という限られた時の中にだけ現れる、この特別な散歩道。
皇居の深奥で出会う桜は、きっと心に深く刻まれる貴重な体験になるはずです。
皇居・お花見散歩のポイント|まとめ
いかがでしたでしょうか?
石垣と桜、そしてどこまでも続く静かな濠。
乾門を抜けて現世(うつしよ)の光の中へ戻るまで、日常を忘れさせてくれるような、凛とした美しさがそこにはありました。
年に二度しか許されないこの貴重な機会に、ぜひ皇居の春を体感してみてください。

